学校インタビューもいよいよ4回目。今回は私学の校長先生に、長年教員として生徒と向き合ってきた経験を元にしたお言葉を頂きました。これから教員を目指す方々や、教壇に立たれている方々へ送る言葉とは。

今回お伺いしたのは、東京都世田谷区にある鷗友(おうゆう)学園女子中学高等学校です。
『校訓』
キリスト教精神を基盤に「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」を校訓として心の教育を行っています。「よろこび」と「真剣さ」あふれる学園を目指しています。
女子中等教育のための学園として1935年に創設され、「女性である前にまず一人の人間であれ」「社会の中で自分の能力を最大限発揮して活躍する女性になれ」との言葉を教育の根本として、一人ひとりのいろいろな可能性を引き出し、能力を発揮できるようにすることを考えた女性教育に取り組んでいます。

今回インタビューに答えて頂くのは、校長 吉野 明 先生です。
“ジェントルマン”が少ないと言われている日本ですが、菊地は本物の”ジェントルマン”を知っています。ズバリ、鷗友学園の吉野校長です。
先生はいつも紳士的な振る舞いをして下さります。いつも素敵な笑顔で迎えて頂けるうえに、帰り際は必ずお見送りをして頂く姿が、一つ一つの動作に心がこもっていらっしゃいます。正しく『お・も・て・な・し』心がいっぱい!の吉野校長先生にインタビューです。
それでは第4回「アイティーチャー菊地が行く!学校インタビュー」ご覧ください!
┃教員を目指そうとしたきっかけとは
菊地
「先生、本日は宜しくお願いします。先生のお話楽しみに参りました!・・・では早速ですが先生を目指そうと思ったきっかけを教えてください。」
校長
「こちらこそ宜しくお願いします。きっかけは・・目の前の教員に対しての反発心と父の影響ですね。父も教員で、やはり親を越えたいという気持ちが大きかったかな。あとはご縁!就職する時期には大学院への進学も考えたりしましたが、ちょうどそのタイミングで恩師から誘いを受けてね。気が付けば鷗友学園に来て41年目です。」
┃女子校としての教育
菊地
「41年!鷗友学園は先生の人生そのものですね!!では先生、初めて教壇に立たれた時のこと覚えていらっしゃいますか?」
校長
「上ばかり見ていました。恩師からのアドバイスでね。どこか一点を見つめないように!これは当時の女子校ならではかもしれませんね。あとは正直、授業の準備が不十分でした。難しい言葉を使った授業になっていたと思います。簡単に言えば『私のスタイル』を押し付けてしまっていて、上から言葉を投げつける感じ?に近いかな。コミュニケーションを取りながらの授業も出来ていなかったと思います。」
菊地
「インタビューをご覧の皆さん!女子校ならでは貴重なエピソードです!!勉強になりますね。」
校長
「確かに大変なこともたくさんあったけれど、辞めたいとは思ったことなかったかな。やっぱり教員が好きなんでしょう。」
┃教員人生を支えていたもの
菊地
「自分の職業を好きだと言えるのって本当に素敵な事だと思います。ちなみに菊地もアイティーチャーが大好きです。(笑)」
「教員が好き。と胸を張って言える吉野校長に是非お聞きしたい!教員人生を支えてくれていたものとは?」
校長
「やはり生徒達の存在です。毎日生徒は成長している。“毎日違う学校”と言った方が分かりやすいかな。同じことの繰り返しだったら嫌になっていたかもしれません。授業一つとっても毎年同じ授業をやれば良いってものではないですからね。」
菊地
「同じように感じる毎日が、違って見えるように日々の努力の積み重ねが大切ということですね。」
「同じように感じる毎日が、違って見えるように日々の努力の積み重ねが大切ということですね。」
┃”なぜ教員が存在するのか”という問い掛けの大切さ
校長
「“なぜ教員が存在するのか”ということが大切です。我々教員は生徒を自立するまでの過程を導いていく存在。それは単に引っ張ることではなく援助しているんだということをきちんと認識していないといけません。親から与えてもらった価値観を大人になる過程の中対象化し、自分の価値観を発見し自分で「自分を」創り出していく必要がある。まずありのままの自分でいいを出発点に、主体的に自分自身を見つけていって欲しいと思っています。教育も一昔前とは違ってきています。現代社会は変化が激しいので、型にはめて社会に押し出せば良いという教育は時代遅れですね。」
菊地
「自分らしさの発見・・。確かに自分自身のことが分かっていなければ“自信”を持つことも難しいですよね。学生時代の最大の目標は“自分と向き合う”ことなのかもしれないですね。」
「自分らしさの発見・・。確かに自分自身のことが分かっていなければ“自信”を持つことも難しいですよね。学生時代の最大の目標は“自分と向き合う”ことなのかもしれないですね。」
┃生徒に必要な能力とは
校長
「そんな中で私は、“主体性”や“コミュニケーション能力”が最も大切だと思っています。生徒たちにこの力は絶対に養って欲しいと強く思っていて、自分の意見がなかったら活き活きと輝けないでしょう。自分の可能性や能力を発見しないまま終りにして欲しくない。これからは女性が活躍していく社会です。持ち前のコミュニケーション能力を活かして、頑張ってほしいですね。生徒たちにもその意識を持って卒業して欲しいと思っています。」
菊地
「働く女性の1人として菊地もより一層身が引き締まる思いです!!」
「・・・本日は校長室でインタビューをさせて頂いておりますが、とにかく本の数が凄い。ではここからは吉野校長のオススメな本をご紹介させて頂きます!!」
校長
「本当にたくさんあるからな~。本が好きでね。昔は本屋とか出版関係に就職も考えたくらいです!・・電子書籍も入れたら月に20~30冊くらいは買っているなぁ・・・」
菊地
「本当に本屋さんが出来るくらいありますもんね。」
校長
「ん~今のオススメはやはり『ちいさな哲学者たち』です。これはDVDなのですが!あと、長くお勤めの人にオススメなのが『学習する学校』『学習する組織』です。」
菊地
「『ちいさな哲学者たち』は早速DVD観てみようと思います!『学習するシリーズ』はとても分厚いですね~。私は“組織”のほうから読んでみようと思います。先生、お忙しい中いつお読みになっているんですか?」
校長
「合間合間で読むという感じですね。この時間に読む!とかは決めていません。それと私は必要だなと思ったところだけ読むんですよ。今、自分や学校に何が必要かというのを頭の中で編集しながら!」
菊地
「おっ!得意の編集ですね!先生が大切にしている言葉も是非お聞きしたいです。」
┃大切にしている言葉
校長
「ではよく生徒たちに伝えている言葉を。」
『自分の枠を越え
学校の枠を越え
日本の枠を越え
隣人(となりびと)となれ。世界に羽ばたけ鷗友生!』
『自分の枠を越え
菊地
「どんな想いが込められているんでしょうか。」
校長
「学ぶ場を学校の外に広げ知識を広げて、世界で活躍出来る人になってほしいという想いを込めています。価値観の違う人との出会いの中で、違いを認識しながら相手の人格を否定せずに自分の意見を言えるように、そして社会に貢献できるようになってほしい。これは学校の教育方針でもあります。」
菊地
「こんな想いをお持ちの先生方が側にいてくれる貴校の生徒さん達は、本当に幸せだと思います。」
校長
「ありがとうございます。(照)」
菊地
「もしも先生が若かりし頃のご自身に会えたとしたら・・・どんな言葉をかけますか?」
校長
「ん~。・・・『もっとコミュニケーションをとれるようにしなさい』かな?実は私、1人で居る方が好きなんです。ボーっとする時間も好きですよ。」
菊地
「そうなんですね。せっかくなんで優しい言葉もかけてあげてください!(笑)」
校長
「恩師からの誘いを断らずに鷗友学園によく来たな!偉い偉い!かな?」
菊地
「鷗友学園に来て41年目。本当に素晴らしいことです。先生にはこの先も10年20年と変わらずにこの場所に居て欲しいと心から思っております。」
「鷗友学園に来て41年目。本当に素晴らしいことです。先生にはこの先も10年20年と変わらずにこの場所に居て欲しいと心から思っております。」
「では最後の質問です。教員を目指している方、現在教壇に立たれている方にメッセージをお願い致します!!」
┃教員を目指している方々へ
校長
「先生はただ専門科目を教えるだけではないです。まず子どもたちのあるがままを肯定し、本来のあり方を活かすことが務めです。子どもたちが主役で教員はサポート役ということを忘れないで下さい。自分の理想はあると思いますが、このことだけは大切にしてほしいです。授業も生徒が主体でなければいけないということも忘れないで下さいね。」
┃教壇に立たれている先生方へ
校長
「自分の理想と学校の体制のギャプに悩むこともあるかと思います。特に中堅の先生方にとって大切なことは全体が見えているかどうか、そしてコミュニケーションリーダーになれるかどうかということ。現場と経営側とでは、どうしても分からない部分が出来てしまいます。自身がミドルリーダーとして経営と現場の橋渡し役となり、理想の学校へ向けて互いの思いを、そして自身の想いを伝達して欲しいです。“皆がリーダー、皆がサポーター”という意識が最も大切なことだと思います。頑張って下さい!」
菊地
「吉野先生、お忙しい中ありがとうございました。最後にツーショット写真お願い出来ますか?」
校長
「もちろん!いいですよ。」

ということで第4回「アイティーチャー菊地が行く!学校インタビュー」皆さんいかがだったでしょうか。
吉野校長は心から女性の活躍を望み、応援してくれている方です。
今回のインタビューは働く菊地の活力にもなりました。先生本当にありがとうございました。
吉野先生が『教員を辞めたいと思ったことはない』と言えるのは、全力で教員というものに向き合ってきたからだと思います。苦しいことを考え悩むより、明日の生徒たちの為に何が出来るのかを考え、努力を惜しまなかった先生だからこその言葉なんだと感じています。
インタビューの最後に、「先生にとって鷗友学園は理想の学校ですか?」とお聞きした際、胸を張って満面の笑みで「はい!」と力強く答えて下さいました。
心の底からかっこ良く魅力的な方だと思い、帰り道は胸がいっぱいの菊地でした。