今回は男子校出身で、女子高(2001年共学化)の教員となられた先生へインタビューを行いました。当時直面した苦悩などを含めて、教員に関わる全ての皆様に送る言葉を頂きました。
今回お伺いしたのは、神奈川県横浜市磯子区にある横浜学園高等学校です。
『教育目標』
『教育目標』
1. 考える人を育てる
真実をよく見きわめ、自らよく考え、正しく判断する力を養い、豊かな教養と知性とを身につけ、創造性を高めよう。
2. 心豊かな人を育てる
自然を愛し、美しいものを求め、情操を高めると共に、身だしなみに心がけ、礼儀をわきまえ、感謝の心を忘れないようにしよう。
3. たくましい人を育てる
何事にもくじけない強い体と心をつくり、物事を最後までやりとげ、生きるよろこびを知ろう。
4. 思いやりのある人を育てる
命のあるものを大切にし、常に相手の立場を考え、共に向上するように努めよう。
5. 公につくす人を育てる
生きがいのある生活を求め、自分の力量を精一杯発揮し、骨身を惜しまず公のために働こう。
平成13年(2001年)男女共学制に移行し、新しい時代に対応したキャリア教育「国際理解教育」「情報教育」「環境福祉教育」などに力を注いでいます。また[特進コース、アートコース]も設置するなど、時代に合わせたニーズにも対応しています。
平成13年(2001年)男女共学制に移行し、新しい時代に対応したキャリア教育「国際理解教育」「情報教育」「環境福祉教育」などに力を注いでいます。また[特進コース、アートコース]も設置するなど、時代に合わせたニーズにも対応しています。
今回インタビューに答えて頂くのは、教頭 藤井 隆晴 先生です。
藤井先生、ベストネクタイ賞があったとしたらダントツの1位でしょう。
先生に初めてお会いした日、可愛いワンちゃんがたくさん散りばめられているデザインのネクタイをされていました。
「素敵なネクタイですね。」と声を掛けると、少し恥ずかしそうにそしてステキな笑顔で「ありがとうございます。お気に入りなんです。」とおっしゃっていたのを鮮明に覚えております。
それでは第7回「アイティーチャー菊地が行く!学校インタビュー」ご覧ください!
┃教員を目指そうとしたきっかけとは
菊地
「本日は宜しくお願いします。先生の今までの思い出話も含めて色々と教えて下さいね。それではまず、先生が教員を目指されたキッカケを教えて下さい!!」
教頭
「最初のキッカケは高校時代でした。高校生の私は、先生に対して思ったことをストレートに言っていたんです。簡単に言うと“言いたいことを言っていた”という感じですね(笑)。勉強は嫌いではなかったのですが、高校2年生の頃に学園祭に目覚めてしまって・・・そこからは、ほとんど勉強しなくなってしまったんです。」
菊地
「そうだったんですね。でも進学校!先生方が黙ってはいなかったのでは??」
教頭
「受験指導に厳しかったので大変でした。しかし学園際の責任者もやっていたので周りがテスト勉強をしていても私は学園祭に夢中でしたね。もちろん成績もみるみる落ちていって大学に進学する気持ちも無くなっていたのが正直なところです。」
菊地
「周りの子たちを見て焦りはなかったですか?」
教頭
「それが不思議と無かったんですよ。そんな調子で高校3年生の秋を迎えた頃、大きな転機が訪れたんです。今でも鮮明に覚えていますが、“漢文の授業”!とにかく授業が面白かったんです。その先生は授業に対しの熱の入れ方が違いました。説明も分かりやすくて。私は国語と社会が苦手だったのですが、その先生との出会いのおかげで私自身も国語の先生になりました。(笑)」
菊地
「高校3年生の秋で焦りがなかった!リアルに感じる時期ですね。(笑)その先生の授業を受けていなければ教員になろうとは思わなかったですか?」
教頭
「そうですね。可能性は低かったかな。あと言いたい放題だった高校時代『人に言っている以上は自分も頑張らなければいけない!』というのはいつも頭の中にありました。だから教員になってからも、言うからにはそれ以上にやらなければ!という気持ちで教壇に立っていましたね。」
菊地
「先生にとって高校時代は宝ですね。では初めて教壇に立った時のことを覚えていますか?」
教頭
「当校は当時、女子校だったんです。私は男子校育ちだったので真逆の世界でしょ?正直よく分からない事ばかりでした。ありがたいことにバレンタインチョコはたくさん頂きましたが(笑)。」
菊地
「モテ男はお返しも大変ですね~。(笑)」
教頭
「自分のクラスよりも他のクラスの子達からの方が断然多かったですけどね。(笑)教壇に立って一番痛感したことは、『きちんと勉強しなくては!』ということです。正直、大学時代に勉強をしっかりしていたつもりだったので自信があったんです。生徒達に話せることの蓄えがあると思っていましたが全然!!教壇に立つとあっという間に話し切ってしまいましたね。蓄えが1週間持ったかどうか・・・(笑)」
菊地
「1週間!?先生の焦っている様子が目に浮かびます。(笑)教員になって一番苦しかったことって何でしょう。」
┃教員として一番苦しかったこと
教頭
「女子校ということもあって、怒り方が分からなかったというのが率直なところです。しかし一度だけどうしても我慢出来ず怒ったことがあるのですが、その時を堺に1年経ったら学校で一番恐い先生と言われていましたよ(笑)。過去担任を持ったクラス目標に“担任を笑わせること”というものもありました。」
菊地
「・・・分かる気がします。(笑)ですが、ただ恐いだけの先生でないというのは藤井先生の側にいれば分かりますよ。では先生が思う“教員のやりがい”とは?」
┃教員としてのやりがいとは
教頭
「教員にとって授業は確かに大切です。でもそれ以上に私は生徒指導を大切にしています。生徒が良い方向に向かってくれることが教員として最大のやりがいでしょうね。若い頃はガンガン言えば良いと思っていましたが、『押してダメなら引いてみろ!!』が大切です。押すだけなら簡単なんですよ。」
菊地
「確かにそうですよね。菊地も引くことを覚えます!!」
「藤井先生が目指していた教員像ってありましたか?」
教頭
「今の自分かな(笑)。と言うのは冗談だけど、“厳しいけれど懐が深くて授業が分かりやすい先生”ですね。教員は常に勉強が出来る素晴らしい職業です。いつまでも探究心を忘れずにいたいですね。」
菊地
「ステキですね!冗談にする必要ないですよ。」
「では先生、オススメ本のご紹介をお願いします。」
┃”ありがとう”の対義語
教頭
「『子どもたちが身を乗り出して聞く道徳の話』(著者 平光雄)です。この本の中で“ありがとう”の反対の言葉は?というのが出てくるんですが何だと思いますか?」
教頭
「“ありがとう”の反対・・・。え~!!なんでしょう?!」
教頭
「意外と難しいでしょ?!(笑)正解は“当たり前”です。人間当たり前だと思っていることに対しては感謝の言葉を言わないですよね?この本には、なるほどなぁと思うことがたくさん載っていますので是非読んで欲しいです。」
菊地
「なるほど・・心に響く答えですね。私もどんな時も誰に対しても“ありがとう”が言える人でいたいです。藤井先生が大切にしている言葉も教えて下さい!!」
教頭
「“感謝”ですね。“ありがとう”との繋ぎがバッチリな答えになってしまいましたが(笑)。」
菊地
「【感謝=ありがとう】 人間が最も大切にしないといけないことですよね!!」
「それでは先生、若かりし頃のご自身に今会えたとしたら、どんな言葉を掛けますか?」
教頭
「『勉強しなさい!』ですかね。若いうちにたくさん学びなさいと強く言います。年を重ねるに連れ自分の為に使える時間が少なくなってしまうのが現実です。結婚をして子供が生まれて・・・家族との時間も大切にしなくてはいけないですからね。独身の頃にどれだけ頑張れるかも一つのキーポイントかもしれないです。あとは『視野を広げて人の話しをきちんと聞きなさい!』と言いたいです。」
菊地
「蓄えがなくならないように!ですね。(笑)では最後に教員を目指している方、現在教壇に立たれている方へメッセージをお願いします!」
┃教員を目指している方々へ
教頭
「色々な経験をして下さい。テクニックに走るのではなく、自分自身(人間力)を磨いて欲しいです。教員=人が人を教える、ということを絶対に忘れてはいけません。また、教員になって1年目が勝負です!特に授業のやり方、1年間の努力や準備にかけた時間は絶対に結果となって出てきます。極端な言い方をしてしまえば、『1年目で自分の将来が決まる!』ということです。私自身も授業が楽しいと思えるようになったのは4年目くらいからでした。それまでは余裕もなく毎日に追われていました。楽しいなと思えるようになる為には努力が必要ということです。焦らず、ですが手を抜くことなく1年目から頑張って下さい!!」
┃教壇に立たれている先生方へ
教頭
「5~10年目が自分を見失いがちです。自信過剰にならずに“人の話しを聞きアドバイスを受け入れられる自分でいてください。自分が正しいとばかり思わず柔軟な心を持っていればその先の教員生活も楽しく、そして充実したものになるでしょう。もしも辞めたいと少しでも感じるようになったら・・・本心を見つめ直して下さい。逃げていないですか?本当に教員が嫌になってしまったのですか?その場の勢いと気持ちだけで決断するのは危険です。頑張って下さいね!!」
ということで第7回「アイティーチャー菊地が行く!学校インタビュー」皆さんいかがだったでしょうか。
インタビューの際のネクタイも、ワンちゃん柄のキュンとする可愛らしいものでした!
先生のネクタイチェック、菊地の楽しみになっています(笑)
藤井教頭は約30年間ソフトボール部の顧問でいらっしゃいました。
部活動の時の話しをしている先生の目はキラキラと輝いていて自信に満ち溢れていました。
また顧問をやりたいなというお気持ちはないですか?と尋ねたところ『最近全然運動してないからなぁ。(笑)』と笑って答えてくれましたが、菊地は心の中で『いつの日か先生がグラウンドに再び現れる日が来てくれたらいいな。』と思いました。
その際には先生の勇姿を絶対に観に行きますね!
そして最後に・・・生まれ変わっても「教員になられますか?」との問いに『はい(照)』と答えて下さったあの笑顔を一生忘れません!